ロレックスの自動巻きオイスター パーペチュアルの歴史・仕組み・魅力を解説
高級腕時計ブランドとして類い稀なる人気を誇り、デイトジャストやサブマリーナー、コスモグラフ デイトナといった大人気モデルを多くラインナップするロレックス。
技術派ブランドでもあるロレックスは、3大機構に代表される多くの革新的な時計機構を生み出したことでも高い評価を獲得しています。
当記事では、ロレックスが発明した機構のひとつである「パーペチュアル」と呼ばれる自動巻き機構について、その歴史や魅力を詳しく解説します。
目次
ロレックスが完成させた自動巻きの歴史
現代では多くの腕時計に当然のように搭載されている自動巻き機構ですが、そのひとつの完成形を作り上げたのがロレックスです。
ロレックスは他にも「オイスターケース」や「デイトジャスト」といった革新的な機構を開発しており、腕時計の進化の歴史を語る上でまず外せないブランドと言えるでしょう。
ここでは、自動巻き機構「パーペチュアル」が開発されるまでの歴史について詳しく解説します。
自動巻きとは?
自動巻きとは機械式腕時計に搭載されるゼンマイ巻き上げ機構です。
機械式腕時計を動かすためにはゼンマイを巻き上げる必要がありますが、自動巻き機構はその名の通り着用して日常生活を過ごしているだけで自動的にゼンマイを巻き上げ、腕時計を動かし続けることができるのです。
なお、自動巻きはローター(または回転錘)と呼ばれる部品が回転することで巻き上げが行われますが、一方向回転のみでゼンマイを巻き上げるものを「片方向巻き上げ」、両方向回転で巻き上げるものを「両方向巻き上げ」と呼びます。
18世紀に原型が考案された自動巻き
自動巻きという時計技術自体は、1776年にアブラハム-ルイ・ペルレという時計師によって考案されました。
この時発明された自動巻き機構は懐中時計に向けたものでしたが、現代と同じくムーブメントの中央にローターを搭載する構造を採っていたことから、同氏に先見の明が合ったことが伺えます。
ちなみに、ペルレは1777年に自らの名を冠したブランドを立ち上げています。現在では250年近い歴史を持つスイスの老舗ブランドながら、パイオニア精神を感じさせるアバンギャルドなコレクションを数多くリリースしています。
20世紀初頭まで定着しなかった自動巻き
18世紀には誕生していた自動巻きですが、地面と垂直に向けて使用する懐中時計の特性上、広く普及することはありませんでした。
その後、18世紀後半から19世紀初頭にかけて、かの有名な時計師アブラアン-ルイ・ブレゲなどによって自動巻き機構の改良は続けられましたが、結局懐中時計には定着しなかったようです。
そして20世紀初頭になり、懐中時計に代わって腕時計が広く使われるようになってから、ようやく自動巻きは日の目を見ることとなったのです。
画期的な自動巻きロレックス「パーペチュアル」
1931年、ロレックスが新たな自動巻き機構「パーペチュアル」を開発したことで、自動巻き腕時計の技術は大きく進歩しました。
この自動巻き機構では「パーペチュアルローター」と呼ばれる新設計のローターを採用しており、それまでのローターが限られた振り幅しか動けなかったのに対し、360°での全回転巻き上げを可能としました。
そして、このパーペチュアルを初めて搭載したコレクション「オイスター パーペチュアル」は、現代の自動巻き腕時計のマイルストーンと呼べる存在になったのです。
ロレックスの自動巻き「全回転式ローター」の仕組み
ロレックスが開発したパーペチュアルローターは、ムーブメントのセンターに取り付けられたローターが腕の動きに合わせて自在に回転し、ゼンマイを巻き上げる仕組みとなっています。
この全回転ローターはそれまでの自動巻き機構と比べると回転の振り幅に制限がないため、巻き上げ効率が非常に優れています。
また、ローターが衝撃を吸収するため、バンパー式ハーフローターなどの巻き上げ機構に比べて耐久性にも優れているのです。
ロレックスの自動巻き腕時計「オイスター パーペチュアル」の歴史
ここからは、現代の自動巻き腕時計の元祖とも呼べる「オイスター パーペチュアル」についてその歴史を解説していきます。
現在でもロレックスのメインコレクションを張っている当モデルですが、ロレックスの3大機構の発展に大きく貢献してきた、非常にアイコニックなコレクションとなっているのです。
以下で、時系列ごとにその進化の歴史を追っていきます。
オイスターケースの開発
オイスターケースは、ロレックスが開発した防水・防塵ケースです。
1926年に誕生した防水・防塵腕時計「オイスター」がそのルーツであり、現在では一部を除くほぼ全てのモデルに採用されています。
ちなみにこのオイスターというモデル、1927年にイギリス海峡横断というプロスイマーの挑戦に同行したことでも有名です。
この挑戦は10時間を超える極めて過酷なものとなりましたが、オイスターはその間も完璧に動き続け、優れた防水・防塵性を証明したのでした。
「オイスター パーペチュアル」の登場
ロレックスの革新的自動巻き機構「パーペチュアル」の誕生は1931年のことですが、同年にこのパーペチュアルをオイスターケースに搭載したコレクション「オイスター パーペチュアル」が登場しました。
このオイスターケースとパーペチュアルとの組み合わせは、のちに登場するサブマリーナーやエクスプローラーといったプロフェッショナルモデルにも多く採用されることになりました。
つまり、オイスター パーペチュアルは現在のロレックスのラインナップの礎となったモデルと呼べるでしょう。
バブルバックの時代
オイスター パーペチュアルの初期モデルは31mm径のコンパクトケースを採用しており、1931年〜50年頃まで製造されていました。
このあたりの初期型モデルは裏ぶたが背の低いドーム状になっており、泡のようにも見えたことから「バブルバック」という愛称で親しまれています。
ちなみに、本作は20年近く製造されたロングセラーモデルであり、そのバリエーションも豊富であったため、アンティークロレックスの定番として愛用者が多いモデルとなっています。
「オイスター パーペチュアル デイトジャスト」の登場
1945年、ロレックスは「オイスター パーペチュアル デイトジャスト」を発表し、瞬時に日付が切り替わるカレンダー機能「デイトジャスト」を披露しました。
ついに出揃ったロレックスの3大機構を全て搭載した本作はまさにフラグシップモデルと呼ぶべき性能を備えており、現在に至るまでロレックスのアイコニックコレクションであり続けてきました。
なお、発売当初はメンズモデルとされていましたが、現在ではレディースモデルも多く登場しています。
セミバブルの登場
オイスター パーペチュアルの初期型モデルとして、バブルバックと並んで有名なのがこのセミバブルバックです。
33〜34mmのケースサイズを採用したモデルであり、ケースの大型化に合わせて裏ぶたの膨らみが減ったことからこの名前が付けられました。
1950年ごろから数年だけ製造されていたモデルですが、多くのバリエーションが登場しており、現在でも中古市場などで比較的安価に手に入れることができます。
ロレックスのパーペチュアルムーブメントの魅力
1931年に誕生し、現在まで多くのロレックスコレクションの心臓部を務めてきたパーペチュアルムーブメント。
年代が進むとともにその性能や装飾はアップグレードが繰り返されており、実用時計ブランドであるロレックスの技術力を証明するものとなっています。
ここでは、その精度、耐久性、信頼性の高さについて詳しく解説していきます。
COSCのクロノメーター認定を受ける品質
パーペチュアルムーブメントには、「ロレックス オーバーコイル ヘアスプリング」や「トラバーシング バランス ブリッジ」といった最先端の技術が多く採用されており、全ての個体がスイス公認クロノメーター検査協会(COSC)の認定を受けてからケースに収められます。
この認定により、全てのパーペチュアルムーブメントは精度、信頼性、耐衝撃性、メンテナンス性などの点で極めて高水準であることが証明されているのです。
さらに高精度な「Superlative Chronometer」も
ロレックスのコレクションに付属するグリーンのタグは、そのモデルが「Superlative Chronometer(高精度クロノメーター)」試験をパスしていることを証明しています。
これは、ケーシングされたCOSC認定ムーブメントに対してロレックスが独自に行う試験であり、クロノメーター精度および防水性能、自動巻、パワーリザーブなどの性能が極めて高い基準で検査されます。
この2重の品質管理体制によって、ロレックスは卓越した信頼性の高さを築き上げているのです。
芸術的な技巧と仕上げ
腕時計のムーブメントを評価する上で、表面仕上げや装飾の美しさは非常に重要なポイントと言えます。
この点でもロレックスに抜かりはなく、綿密に設計された輪列の機能美はもちろんのこと、一切の歪みのないポリッシュ仕上げやサテン仕上げ、ぺルラージュ装飾などを細部にまで見ることができます。
内部機構ゆえにお目にかかることは少ないかもしれませんが、そういった隙の無さでもロレックスのムーブメントは高い評価を獲得しているのです。
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まとめ
当記事では、ロレックスが生み出した革新的な自動巻き機構である「パーペチュアル」について詳しく解説しました。現在、実用時計ブランドとして最高峰の地位を確立しているロレックスは、いくつもの革新的発明によってその地位を築いてきたことがご理解いただけたかと思います。
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